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知らなかったでは済まされない!FBARとFATCA(海外金融資産報告)の落とし穴

知らなかったでは済まされない!FBARとFATCA(海外金融資産報告)の落とし穴

アメリカに住む方、あるいは米国籍や永住権を持つ方、グリーンカード保持者の皆様へ。海外に金融資産をお持ちの場合、FBAR(FinCEN Form 114)とFATCA(Form 8938)という二つの重要な報告義務があることをご存知でしょうか?「知らなかった」では済まされない、厳しいペナルティが課される可能性があるこれらの報告義務について、その落とし穴と対策を米国税理士が解説します。

FBAR(FinCEN Form 114)とは?

FBAR(Report of Foreign Bank and Financial Accounts)は、米国外の金融口座に関する報告書です。これはIRS(内国歳入庁)ではなく、FinCEN(金融犯罪取締ネットワーク)に提出されます。

  • 報告義務の対象者: 米国市民、永住権保持者、特定の居住外国人など、米国税務上の居住者。
  • 報告対象資産: 銀行口座、証券口座、投資信託、生命保険の現金価値など、米国外の金融機関に保有する口座。
  • 報告基準額: 報告年度中のいずれかの時点で、全ての米国外金融口座の合計残高が10,000ドルを超えた場合。
  • 申告期限: 毎年4月15日(自動的に10月15日まで延長されます)。

たとえ口座に税金がかかる収入がなくても、この報告義務は発生します。残高が10,000ドルを超えたかどうかが唯一の判断基準です。

FATCA(Form 8938)とは?

FATCA(Foreign Account Tax Compliance Act:外国口座税務コンプライアンス法)は、米国の納税義務者が保有する特定の海外金融資産の報告を義務付ける法律です。FBARとは別の、IRSに提出する報告書(Form 8938)です。

  • 報告義務の対象者: 米国市民、永住権保持者、特定の居住外国人など、米国税務上の居住者。
  • 報告対象資産: FBARの対象となる口座に加え、海外の不動産投資信託、海外年金、特定の海外事業体への持分など、より広範な資産が含まれます。
  • 報告基準額: 居住地や確定申告のステータスによって異なりますが、FBARよりも高い基準額が設定されています。
    • 例1: 米国内居住の単身者で、年末に$50,000超、または年間を通じていずれかの時点で$75,000超。
    • 例2: 米国外居住の単身者で、年末に$200,000超、または年間を通じていずれかの時点で$300,000超。
  • 申告期限: 通常、確定申告書(Form 1040)の提出期限と同じです。

FATCAは、海外の金融機関にも米国人顧客の口座情報をIRSに報告させる義務を課しており、国際的な情報共有が進んでいます。

「知らなかった」では済まされない!FBARとFATCAの落とし穴と厳しいペナルティ

これら二つの報告義務を怠ると、非常に重いペナルティが科せられる可能性があります。多くの納税者が陥りがちな「落とし穴」は以下の通りです。

  • 「海外の口座だからIRSには分からないだろう」という誤解: FATCAにより、世界中の多くの金融機関が米国人顧客の情報をIRSに提供しています。隠し通すことは非常に困難です。
  • 「税金がかからない口座だから報告不要」という誤解: FBARもFATCAも、口座から収入があるかどうかに関わらず、資産の存在自体を報告する義務です。
  • 「少額だから大丈夫だろう」という誤解: FBARの$10,000という基準は、一見すると少額に思えるかもしれませんが、複数の口座の合計額で判断されます。

ペナルティの例:

  • FBARの不履行:
    • 意図的でない不履行の場合でも、年間10,000ドルまでのペナルティ。
    • 意図的な不履行と判断された場合、口座残高の50%または100,000ドルのいずれか高い方のペナルティ、さらには刑事罰の可能性もあります。
  • FATCA(Form 8938)の不履行:
    • 不履行が確認された場合、年間10,000ドルのペナルティ。
    • IRSからの通知後も不履行が続くと、追加で年間10,000ドル(最大50,000ドル)のペナルティが加算されます。
    • 過少申告のペナルティも課される可能性があります。

これらのペナルティは過去の年度に遡って適用されるため、複数年にわたる不履行は想像を絶する金額になることがあります。

落とし穴を避けるための対策

手遅れになる前に、以下の対策を講じましょう。

  1. 自身の状況を正確に把握する: 所有する全ての海外金融口座をリストアップし、各年度の最高残高を確認してください。共同名義の口座も報告対象です。
  2. 専門家への相談: FBARとFATCAのルールは複雑であり、個々の状況によって適用が異なります。米国税務に精通した税理士(Enrolled Agent)や公認会計士(CPA)に相談し、適切な申告を依頼することが最も確実です。
  3. 過去の不履行がある場合: もし過去に報告義務を怠っていた場合でも、IRSは「Streamlined Foreign Offshore Procedures」などの救済措置を提供しています。これは、意図的でなかった不履行に対して、限定的なペナルティで過去の報告義務を果たす機会を与えるものです。専門家と相談し、早急に対応を検討してください。

まとめ

FBARとFATCAは、海外に金融資産を持つ米国納税義務者にとって、避けて通れない重要な報告義務です。「知らなかった」では済まされない厳しいルールとペナルティがある一方で、適切に対応すれば安心して米国での生活を送ることができます。ご自身の状況を把握し、不明な点があれば必ず専門家にご相談ください。早期の対応が、将来的な問題を回避するための鍵となります。

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