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米国税務の実務:法人税と個人所得税の基礎知識

米国税務の実務:法人税と個人所得税の基礎知識

米国でのビジネスや生活において避けて通れない「米国税務」について、法人税と個人所得税を中心に実務的な視点から解説いたします。米国の税制は複雑で多岐にわたりますが、基本的なポイントを押さえることで、よりスムーズな税務コンプライアンスを目指しましょう。

1. 米国法人税の基礎

米国で事業を行う法人には、連邦法人税と州法人税が課されます。法人の形態によって税務上の取り扱いが大きく異なるため、適切な選択が重要です。

連邦法人税の概要

  • C Corporation (C法人): 法人自体が課税対象となり、利益に対して法人税が課されます。その後、株主への配当に対しても個人所得税が課されるため、「二重課税」となる可能性があります。連邦法人税申告書はForm 1120を使用します。
  • S Corporation (S法人): 特定の要件を満たすことで、法人レベルでの連邦法人税が免除され、利益や損失が直接株主の個人所得税申告書にパススルーされます。二重課税を回避できる点が大きなメリットです。連邦法人税申告書はForm 1120-Sを使用します。
  • Partnership (パートナーシップ) / LLC (有限責任会社): LLCは税務上、C法人、S法人、またはパススルーエンティティ(個人事業主またはパートナーシップ)として選択できます。パートナーシップはパススルー課税が基本です。

主な控除と申告期限

事業経費は幅広く控除の対象となりますが、適切な記録保持が必須です。連邦法人税の申告期限は、会計年度終了後の4月15日(カレンダーイヤーの場合)が一般的ですが、延長申請も可能です。

2. 米国個人所得税の基礎

米国に居住する個人、あるいは米国源泉所得を得る個人は、連邦個人所得税および州所得税の申告義務が生じます。

連邦個人所得税の概要

  • 課税対象者: 米国市民、永住権保持者(グリーンカード保持者)、および実質的居住者テストを満たす外国人は、原則として全世界所得に対して課税されます。非居住外国人は、原則として米国源泉所得のみが課税対象です。
  • 申告書: 主にForm 1040を使用します。所得の種類(給与、事業所得、配当、利息など)に応じて、様々な付表(Schedule)を添付します。
  • 主な控除と税額控除: 標準控除(Standard Deduction)または項目別控除(Itemized Deductions)のいずれかを選択できます。扶養家族控除、教育費控除、チャイルドケア控除、外国税額控除など、様々な税額控除も活用できます。

州所得税

連邦税とは別に、多くの州で州所得税が課されます。州によって税率や税制が大きく異なり、アラスカ州、フロリダ州、ネバダ州など、州所得税がない州も存在します。

3. 実務上の注意点

米国の税務を適切に管理するためには、以下の点に留意することが重要です。

  • 記録保持の徹底: 全ての収入と支出に関する領収書、銀行取引明細、契約書などの記録を最低3年間(場合によってはそれ以上)は保管してください。IRSの監査(Audit)では、記録の提出が求められます。
  • 税制改正への対応: 米国の税法は頻繁に改正されます。最新の税法情報に常にアンテナを張り、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることが不可欠です。
  • 国際税務の留意点: 米国外に資産を持つ米国納税者(米国市民、グリーンカード保持者など)は、海外金融資産報告(FATCA/Form 8938)、海外銀行口座報告(FBAR/FinCEN Form 114)など、追加の申告義務が生じる場合があります。これらの報告を怠ると、重い罰則が科される可能性があります。

まとめ

米国税務は、法人形態の選択から個人の申告まで、多岐にわたる知識と経験を要します。適切な税務計画とコンプライアンスは、予期せぬトラブルを避け、事業や個人の財務健全性を保つ上で極めて重要です。

ご自身の状況に合わせた最適な税務戦略を構築するためには、米国税理士(EA)や公認会計士(CPA)などの専門家にご相談いただくことを強くお勧めします。当事務所では、皆様の米国での税務をサポートさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。

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