米国では、ゴルフクラブ、カントリークラブ、会員制のダイニングクラブ、会員どうしの親睦団体などが、内国歳入法 501(c)(7) の「社交クラブ(social club)」として連邦所得税の免除を受けていることがあります。この免税を保つうえで一番気をつけたいのが、会員以外からの収入の割合です。
この記事では、IRS が公表している目安(15% と 35%)、会員のゲストの扱いを決める Rev. Proc. 71-17 の考え方、非会員収入にかかる税金と申告書を、在米の日系クラブの事務局・経理の方向けにまとめます(2026 年 10 月時点の IRS の情報にもとづきます)。
結論:15% と 35% の目安
| 目安 | 内容 |
|---|---|
| 35% | 投資収益を含む総収入のうち、会員以外から得た分は 35% まで |
| 15% | 上の 35% のうち、一般の人(非会員)による施設やサービスの利用から得た分は 15% まで(会員の社交・娯楽につながらない活動の収入も含む) |
| 超えた場合 | 自動的に免税資格を失うわけではなく、すべての事実と状況を考えて判断される |
15% の目安は、1976 年の議会報告書(H. Rep. No. 94-1353、S. Rep. No. 94-1318)で示されたものです。社交クラブは、会員の会費・利用料で運営され、会員どうしが交流する場であることが前提なので、外部からの収入が大きくなるほど、その前提から外れていくと考えられています。
計算の例
例:ある社交クラブの 1 年間の総収入が $1,000,000 で、内訳が次のとおりだったとします(数字は説明のための仮のものです)。
| 収入 | 金額 | 区分 |
|---|---|---|
| 会費 | $600,000 | 会員 |
| 会員の飲食(会員のゲストを含む) | $250,000 | 会員 |
| 一般向けイベント・貸切 | $100,000 | 一般の利用(15% の対象) |
| 利息・配当 | $50,000 | 会員以外(35% の対象) |
会員以外からの収入は $100,000+$50,000=$150,000 で総収入の 15%(35% の目安の内側)、一般の利用による収入は $100,000 で 10%(15% の目安の内側)です。一般向けのイベントが 1 回大きく当たるだけで割合が変わるので、年度末ではなく月ごとに見ておくのが安全です。
会員のゲストはどう扱う?(Rev. Proc. 71-17)
会員が友人を連れてきた食事や、会員が主催する集まりの収入を、会員からの収入として扱えるかどうかは、Rev. Proc. 71-17 に目安があります。
- 8 人以下のグループで、会員が 1 人以上いて、会員(またはその勤め先)が直接支払った場合は、会員とゲストの関係があるものとして扱う
- 会員が 75% 以上のグループで、会員(またはその勤め先)が直接支払った場合も同じ
- このどちらかの前提を使う場合も、グループの構成と支払った人を裏づける記録を残す
- それ以外の非会員の利用は、1 回ごとに日付・人数・非会員の名前・金額を記録し、精算や勤め先の支払いについての会員の署名つきの文書も残す
記録がない、または IRS に見せられない場合は、これらの前提が使えなくなり、会員からとたどれない収入はすべて非会員からの収入とみなされます。
非会員収入にかかる税金
社交クラブは免税団体ですが、すべての収入が非課税になるわけではありません。社交クラブの場合、課税の対象になる非関連事業所得(UBTI)は、総収入から「免税目的の収入」を除き、それを得るために直接かかった費用を引いて計算します。
- 免税目的の収入:会員が自分・家族・ゲストのために払う会費・利用料・料金など(宗教・慈善・教育などの目的のために取り分けた収入も含む)
- 課税される収入:会員の正式なゲストではない非会員からの収入と、利息・配当などの投資収益
- Form 990-T:非関連事業の総収入が $1,000 以上あれば提出。法人として設立されたクラブの期限は、事業年度終了から 5 か月目の 15 日(暦年なら 5 月 15 日)
毎年の申告書
| 申告書 | 対象 |
|---|---|
| Form 990-N(e-Postcard) | 総収入が通常 $50,000 以下 |
| Form 990-EZ(または 990) | 総収入 $200,000 未満、かつ総資産 $500,000 未満 |
| Form 990 | 総収入 $200,000 以上、または総資産 $500,000 以上 |
| Form 990-T(上に加えて) | 非関連事業の総収入が $1,000 以上 |
また、クラブの規約(governing instrument)には、人種・肌の色・宗教による差別を定める条項を入れることができません。
事務局でできる管理のしかた
- 会計年度で集計する:割合は会計年度ごとの総収入で見ます。月ごとに累計を出し、15% と 35% までの残りを把握します
- 売上を 3 つに分ける:会員(会員のゲストを含む)/一般の利用/投資収益。会費・入会金など、会計上の勘定科目ごとにどこに入るかを決めておきます
- Rev. Proc. 71-17 の台帳をつける:グループの人数・会員の数・非会員の名前・金額・支払った人を、伝票やイベントの申込みごとに残します
- 年度末に会計担当・税理士と確認する:Form 990 と 990-T の作成に、その台帳と集計をそのまま使えます
CLT NY INC. の業務アプリには、501(c)(7) の社交クラブ向けの非会員収入モニターがあります。飲食の注文やイベントの申込みの記録から会員・非会員を分け(同伴者は Rev. Proc. 71-17 の前提で判定)、会費などは QuickBooks から取り込んで、会計年度の 15%・35% の進み具合を表示します。会計担当向けに 71-17 の台帳を CSV で出せます。業務アプリのご案内もご覧ください。
よくある質問
非会員収入が 15% を超えたら、すぐに免税資格を失いますか?
すぐに失うわけではありません。IRS は、目安を超えた場合は「すべての事実と状況」を考えて、引き続き免税の要件を満たすかを判断するとしています。ただし、超える年が続くと説明が難しくなるため、年度の途中から割合を見ておくことが大切です。
投資収益(利息・配当)も 35% に入りますか?
入ります。35% の目安は、投資収益を含む総収入のうち会員以外から得た分の割合です。また、社交クラブの投資収益は、原則として非関連事業所得(UBTI)として課税の対象になります。
会員が連れてきたゲストの飲食代は、非会員収入になりますか?
Rev. Proc. 71-17 では、8 人以下で会員が 1 人以上いるグループ、または会員が 75% 以上のグループで、会員(またはその勤め先)が直接支払った場合は、会員のゲストとして扱う前提が置かれています。それ以外の非会員の利用は、日付・人数・非会員の名前・金額などの記録が必要です。
記録をつけていないと、どうなりますか?
Rev. Proc. 71-17 の前提が使えなくなり、会員からの収入だとたどれない収入は、すべて非会員からの収入とみなされます。15% の計算でも、課税の計算でも不利になります。
非会員収入には税金がかかりますか?
原則としてかかります。会員の正式なゲストではない非会員からの収入と投資収益は、非関連事業所得として課税され、非関連事業の総収入が $1,000 以上あれば Form 990-T を提出します。
毎年どの申告書を出しますか?
年次の申告は、総収入が通常 $50,000 以下なら Form 990-N、総収入 $200,000 未満かつ総資産 $500,000 未満なら Form 990-EZ(または 990)、それ以上なら Form 990 です。非関連事業の総収入が $1,000 以上ある年は、これに加えて Form 990-T を出します。
出典
- IRS「Social clubs — Requirements for exemption — Support by membership dues」
- IRS「Social clubs」
- IRS「The enduring relevance of Rev. Proc. 71-17 on IRC Section 501(c)(7) organizations」
- IRS「IRM 7.27.7 Computation of Unrelated Business Taxable Income for Social Clubs」
- IRS「Nonmember Income of Social, Fraternal, Veterans, … Organizations」(EO CPE Text)
- IRS「Form 990 series: Which forms do exempt organizations file」
- IRS「Instructions for Form 990-T (2025)」
この記事は 2026 年 10 月時点の IRS の公表情報にもとづく一般的な情報で、個別の税務アドバイスではありません。免税資格や申告の判断は、クラブの状況に合わせて専門家にご相談ください。
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