「今の Tax Preparer の料金が高い」「質問しても返事が遅い」「日本の資産のことを分かってもらえない」――事務所を変えたいと思っても、手続きが面倒そうで、毎年同じところに頼んでいる方は少なくありません。
実際には、乗り換えは難しくありません。大事なのは、昨年までの情報をきちんと引き継ぐことです。この記事では、乗り換えの時期、前の事務所に頼むもの、引き継ぎが必要な繰越項目、新しい事務所に渡す書類を順番にまとめます。
乗り換えに向いている時期
一番スムーズなのは、前の年の申告が終わり、次の申告の準備が始まる前(夏から年末)です。1〜4 月の繁忙期は事務所の受付が埋まりやすいので、年内に決めておくと安心です。すでに今年の申告の途中なら、その年は今の事務所で終え、翌年から変えるのが無難です。
手順 1:前の事務所に、あなたの記録を依頼する
過去の申告書は、本来お客さま自身の記録です。IRS の実務規定(Circular 230 §10.28)でも、税務の専門家はお客さまから求められたとき、申告に必要なお客さまの記録を速やかに返すことになっています。次のものを依頼しましょう。
- 昨年(できれば過去 3 年分)の申告書の控え(連邦・州。すべての Schedule と Form を含む PDF)
- 減価償却の明細(賃貸不動産や事業用の資産がある場合)
- 繰越項目のワークシート(キャピタルロス、外国税額控除など)
前の事務所と連絡が取りにくい場合でも、IRS のオンラインアカウントから申告内容の記録(Tax Return Transcript)を無料で取り寄せられます。ただし、transcript に載るのは主な数字だけで、明細やワークシートは含まれません。
手順 2:引き継ぎが必要な繰越項目を確認する
乗り換えで一番注意したいのが、翌年以降に持ち越す金額です。新しい事務所がこれを知らないと、使えるはずの控除を取りこぼすことがあります。
| 繰越項目 | どこで確認できるか |
|---|---|
| 株式などの譲渡損失(キャピタルロス) | Schedule D の Capital Loss Carryover Worksheet |
| 賃貸不動産・事業用資産の減価償却 | Form 4562 と減価償却の明細 |
| 賃貸などのパッシブロス | Form 8582 |
| 外国税額控除の繰越 | Form 1116 の繰越の明細 |
| 寄付金控除の繰越 | Schedule A のワークシート |
| 事業の純損失(NOL) | NOL のワークシート |
| 前年の還付を今年の見積税に充てた額 | 前年の Form 1040 |
手順 3:新しい事務所に渡すもの
- 昨年の申告書の控え(連邦・州)と、上の繰越の資料
- 今年の書類(W-2、1099、1098 など)
- 家族全員の SSN または ITIN と生年月日
- 還付を受け取る銀行口座(ルーティング番号・口座番号)
- IRS や州から届いた手紙(通知)、IP PIN の通知(届いている方のみ)
- 日本の銀行・証券口座ごとの、年間の最高残高(FBAR・Form 8938 のため)
手順 4:前の事務所との関係を整理する
前の事務所が IRS に対してあなたの代理人(Form 2848)や情報の受け取り人(Form 8821)として登録されている場合、必要に応じて取り消せます。前の事務所には「今年は別の事務所に頼みます」と一言伝えておけば、二重に申告される心配もありません。
よくある心配
- 前の事務所に悪い気がする:申告の依頼は毎年の契約です。料金や対応を比べて選ぶのは自然なことです。
- 昨年の申告に間違いが見つかったら?:必要に応じて修正申告(Form 1040-X)で直せます。
- 電子申告の本人確認は?:本人確認に前年の AGI(調整後総所得)を使うことがあるので、昨年の申告書の控えがあるとスムーズです。
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この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の税務アドバイスではありません。
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