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自動車ローン利息の控除:対象になる車の条件と上限

2025 年 7 月 4 日に成立した One Big Beautiful Bill Act(OBBBA)により、2025 年分から 2028 年分まで、個人で使う新車のローン利息を年 $10,000 まで所得から控除できるようになりました。これまで、個人で使う車のローン利息は「個人的な利息」として控除できませんでした。

ただし、対象になるのは「米国で最終組立された新車」を「2025 年以降に組んだローン」で買った場合などに限られ、所得制限もかなり厳しめです。2026 年 9 月には財務省・IRS の最終規則(T.D. 10054)も公表され、リースや中古車、借り換えの扱いがはっきりしました。

この記事では、年末に向けて車の購入やローンの借り換えを考えている米国在住の日本人・駐在員の方に向けて、対象になる車とローンの条件、上限と所得制限、VIN(車両識別番号)の記載や書類の見方を整理します。

結論(要点)

  • 対象は、2024 年 12 月 31 日より後に組んだローンで購入した、個人使用目的の新車(最初の使用者が自分)の利息です。車に第一順位の担保権(first lien)が設定されたローンである必要があります。
  • 車は乗用車・ミニバン・バン・SUV・ピックアップトラック・オートバイで、車両総重量定格(GVWR)が 14,000 ポンド未満、かつ米国で最終組立されたものに限られます。ブランドの国籍は関係ありません。
  • 上限は申告ステータスにかかわらず 1 申告あたり年 $10,000。MAGI が $100,000(夫婦合算申告は $200,000)を超えると、超過額 $1,000 ごと(端数は切り上げ)に $200 減ります。
  • リース料、中古車、下取り車のローン残高(ネガティブエクイティ)分は対象外で、リース車の買い取りも原則として対象外です。
  • 申告書には車の VIN を記載します。非居住外国人は原則として対象外です。

対象になる車の条件

条件内容
車の種類乗用車、ミニバン、バン、SUV、ピックアップトラック、オートバイ
重さ車両総重量定格(GVWR)が 14,000 ポンド未満
新車であること最初の使用(original use)が自分から始まること。中古車は対象外
組立場所米国で最終組立(final assembly)されたこと
使用目的ローンを組んだ時点で、本人・配偶者・一定の親族などによる個人使用が 50% を超えると見込まれること

ここでいう「個人使用」とは、事業や投資など収入を得るための使用以外を指します。Form 1040 の説明書によると、従業員として勤務先の仕事に使うことは事業使用に含まれません。また、個人使用には、配偶者、本人や配偶者の子・孫・父母・兄弟姉妹、同じ家に住む世帯員による使用も含まれます。たとえば、ライドシェアの運転で使う時間が 15%、個人使用が 85% と見込んでいれば、個人使用目的の購入とされます。

「米国で最終組立」の確認方法

最終規則では、VIN に示される製造工場か、車両に貼られたラベルに記載された最終組立地で判断できるとされています。IRS は、販売店で車両の情報ラベルを確認するか、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)の VIN Decoder で製造工場(plant of manufacture)を調べる方法を案内しています。

判断の基準はブランドではなく組立場所です。日本ブランドの車でも米国の工場で最終組立されていれば対象になり得ますし、米国ブランドでも国外で組み立てられた車は対象外です。車種名やブランドだけで判断せず、購入前に 1 台ごとに VIN やラベルで確認しましょう。

対象になるローン・ならないローン

ケース控除の対象か
2025 年以降に本人が借り手として組んだ新車購入ローン(車に第一順位の担保権あり)対象
上記ローンの借り換え(同じ車に第一順位の担保権)借り換え時点の残高の範囲で対象(上乗せして現金を受け取った部分は対象外)
購入時に一緒にローンに含めた売上税・車両関連の手数料・延長保証・サービスプランなど購入に直接関連し、通常一緒に融資されるものとして対象になり得る
ローンに含めた自動車保険(賠償責任保険)やトレーラーの代金対象外
下取り車のローン残高(ネガティブエクイティ)を上乗せした部分対象外
リース料対象外
リース期間中・満了後の買い取り原則として対象外(最初の使用は通常リース会社から始まるため)
中古車の購入ローン対象外
2024 年 12 月 31 日以前に組んだローン対象外
車を担保にしない個人ローンやカードでの購入対象外(車への第一順位の担保権が条件)
会社・LLC など法人名義のローン対象外(控除できるのは個人、遺産財団、非グランター信託)

事業にも使う車の場合は、ローンを組んだ時点で個人使用が 50% を超える見込みかどうかがまず問題になります。Schedule 1-A の Part IV には、VIN ごとに Schedule C・E・F で事業経費として差し引いた利息と、Schedule 1-A で控除する利息を分けて書く欄があります。同じ利息を二重に控除することはできません。

上限と所得制限(フェーズアウト)

申告ステータス上限減額が始まる MAGI$10,000 の控除がゼロになる MAGI
独身・特定世帯主・夫婦個別申告など$10,000$100,000$150,000
夫婦合算申告(MFJ)$10,000$200,000$250,000

減額の計算は、MAGI が基準額を超えた分を $1,000 で割り、端数を「切り上げた」数に $200 を掛けた額です(残業代やチップの控除は端数切り捨てなので、ここが違います)。上限は 1 申告あたりの額で、ローンが複数あっても利息を合計してから $10,000 で頭打ちにします。

MAGI は、AGI に外国勤労所得控除(911 条)などで除外した金額を足し戻したものです。また、残業代・チップの控除と異なり、IRS の概要ではこの控除に夫婦合算申告の要件は挙げられていません。標準控除を選ぶ人も項目別控除を選ぶ人も使えます。

申告と書類:VIN と Form 1098-VLI

控除は Schedule 1-A(Form 1040)の Part IV で計算し、対象車の VIN を記載します。

2025 年分2026 年分以降
貸し手からの報告経過措置(Notice 2025-57)により、オンラインのポータル、毎月の明細、年間の明細などで利息の合計額を知らせれば足りる年 $600 以上の利息を受け取った貸し手は Form 1098-VLI(Vehicle Loan Interest Statement)を発行
確認すること利息の合計額、車の VIN、ローンの契約日Form 1098-VLI の利息額と、車の年式・メーカー・モデル・VIN

Form 1098-VLI に記載されても、それだけで控除が認められるわけではありません。最終組立地や個人使用などの条件を満たすかどうかは、自分で確認する必要があります。

日本人・駐在員が気をつけたい点

  • 居住者・非居住者の区分:IRS Publication 519 は、非居住外国人は原則としてこの控除の対象にならないとしています。F-1・J-1 の学生や研修生など非居住外国人として Form 1040-NR を提出する人は、原則として使えません。駐在員などで米国の居住外国人と判定される人は、米国市民と同じ条件で判断します。
  • リースか購入か:リース料は対象外で、リース車の買い取りも原則として対象外です。控除を考えるなら、新車をローンで購入する場合に限られます。
  • 会社名義の車:会社が借り手のローンや会社名義の車は、個人の控除の対象になりません。
  • ブランドより組立場所:日本ブランドかどうかではなく、その 1 台の最終組立地で判断します。
  • 帰国の予定:控除できるのは 2025〜2028 年分に支払った利息です。帰国の年は居住者・非居住者の判定によって扱いが変わり得るため、早めに確認しておくと安心です。

計算例

例:以下の数字はすべて説明のための仮のものです。

例 1:独身、所得制限にかからない場合

2026 年 2 月に、米国で最終組立された新車の SUV を $40,000 のローンで購入。2026 年に支払った利息は $2,600、MAGI は $90,000 とします。MAGI が $100,000 以下なので減額はなく、控除額は $2,600 です。限界税率を 22% と仮定すると、連邦所得税は約 $572 少なくなります。

例 2:夫婦合算申告で減額がかかる場合(端数の切り上げ)

2026 年の利息が $4,000、MAGI が $215,500 の場合です。

  • 超過額:$215,500 − $200,000 = $15,500
  • $15,500 ÷ $1,000 = 15.5 → 切り上げて 16
  • 減額:16 × $200 = $3,200
  • 控除額:$4,000 − $3,200 = $800

例 3:独身で MAGI が高い場合

利息 $3,000、MAGI $116,000 の場合、超過額 $16,000 ÷ $1,000 = 16、減額は 16 × $200 = $3,200 となり、利息 $3,000 を上回るため控除額は $0 です。

よくある質問

リースで乗っている車を買い取りました。対象になりますか?

最終規則の説明では、リース車は通常リース会社から最初の使用が始まるため、リース期間中や満了後に借り手が買い取っても、借り手から最初の使用が始まったことにはならないとされています。原則として対象外です。

年末に前年モデルの新車(在庫車)を買っても対象になりますか?

最終規則の説明では、前年に製造され翌年に販売された車(たとえば 2026 年に販売された 2025 年モデル)でも、最初の使用が購入者から始まるのであれば、製造年にかかわらず「新車」として扱うことが確認されています。米国での最終組立などほかの条件も満たす必要があります。

2024 年に組んだローンを 2026 年に借り換えました。

最終規則は、条件を満たすローンを借り換えた場合に、同じ車に第一順位の担保権があれば借り換え時点の残高の範囲で新しいローンも対象になるとしています。2024 年 12 月 31 日以前に組んだローンはもともと条件を満たさないため、2026 年に借り換えても対象にならないと考えられます。

日本ブランドの車は対象外ですか?

ブランドではなく最終組立地で判断します。米国の工場で最終組立された車であれば、日本ブランドでも対象になり得ます。VIN Decoder や車両ラベルで確認してください。

夫婦個別申告でも使えますか?

IRS の概要では、この控除に夫婦合算申告の要件は挙げられていません。上限は申告ステータスにかかわらず 1 申告あたり $10,000 で、合算申告以外の減額開始ラインは MAGI $100,000 です。

州税にも影響しますか?

この控除は連邦所得税のものです。州所得税の扱いは州ごとに異なるため、居住する州のルールを確認してください。

CLT NY INC. では、IRS 公認の米国税理士(Enrolled Agent)が日本語で、自動車ローン利息の控除をはじめとする OBBBA の新しい控除の確認や確定申告に対応します。お問い合わせはこちら。

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出典:IRS: Tax deductions for working Americans and seniors/IRS Topic No. 505, Interest expense/IRS IR-2025-129/IRS IR-2025-105 (Notice 2025-57)/Internal Revenue Bulletin 2026-39 (T.D. 10054)/Federal Register: Car Loan Interest Deduction (Sept. 8, 2026)/IRS Schedule 1-A (Form 1040)/IRS 2025 Instructions for Form 1040 (Schedule 1-A)/IRS Instructions for Form 1040-NR/IRS Publication 519/NHTSA VIN Decoder。2026 年 10 月時点の情報です。この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の税務アドバイスではありません。

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